取り急ぎお礼まで

プロ喪男さん、アドバイスありがとうございます。

そりゃそうですよね。

コメントに応えないのに、コメントは来ませんよね。反省・・・。 m(_ _)m

鎖骨さん、聖さん、恋する名無しさん、ありがとうございます。

それから夜9時以降に急にアクセスが増えたけど、誰か宣伝してくれたんでしょうか?

「華麗なる一族」放送中にもかかわらず、ありがとうございます。 m(_ _)m

これからも皆さんヨロシク! (^^)/~~~

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18.緊急事態!

俺がそれを知ったのは、会社の終業時間も迫った日も暮れかけた夕刻、FちゃんからY先輩に届いたメールがきっかけだった。

係長を気にしながら、机の下でメールの内容を確認していたY先輩は、

『ちょっと、電話してくる。』

と言って、席を立った。 

しばらくして戻ってきたY先輩は俺に言った。

『D、今日仕事終わったら飲みに行こうか?』

『え? 今日はFちゃんとデートじゃなかったんでしたっけ?』

『それが中止になっちゃったんだよ。 Sを病院に連れて行くとかでな・・・。』

『びょ、病院!! 何があったんですか!! (*_*) 』

『ああ・・・、何だか木から落ちてケガしたらしいぞ。』

『大ケガなんですか!?』

『K幼稚園に大木は無いからな。 大したケガじゃないだろ。』

『分かりませんよ! 落ち方によっては大ケガだってあり得るし、頭でも打ってた日にゃあ脳挫傷とか・・・。 >< 』

俺の頭の中には嫌な予感ばかりがよぎった。

『お前、大げさな・・・。 大ケガだったら、救急車呼ぶだろ?』

『でも、軽いんだったら病院には連れて行かないでしょ!?』

『念のために連れて行くって事もあるからな。 Fちゃんの声もせっぱ詰まった感じじゃなかったし。』

俺は、Y先輩ののんびりとした物言いにもの凄く腹が立った。

『だからぁ、それは先輩の想像でしょ? (-_-;) 骨折してるかもしれないしィ!』

『まあ、骨折だったらあり得るかもな。』

『骨折だったら十分大ケガですよ!』

『おい! そこうるさいぞ! つっ! またお前らか・・・。 ったく!』

係長のメガネの奥の細い目がキラリと光った。

『すいません・・・。 ^^; 』

『今、緊急事態なんですよ! すぐ終わりますから!』

俺は、Sが心配でそれどころじゃなかったんだ。

『・・・。 (@_@) 』

先輩は係長に対する俺の態度に呆気にとられていたが・・・。

『先輩! Fちゃんに連絡取ってケガの具合はどれ位なのか必ず訊いといてくださいね!』

『・・・。』

『お願いしますよ!』

『・・・。』

『・・・何ですか? ニヤニヤして・・・。』

『フ~~ン。 そうか、そういう訳だったのか・・・。』

『な、何ですか?』

『まあ、いいってことよ。 (^_-) 』

今度は、Y先輩の目がキラリと光った。

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17.俺って最低?

金曜日の深夜、Y先輩は上機嫌で帰ってきた。

『次は二人で会う約束しちゃったよ~。 どこがいいかなぁ~。 ルンルンルン。♪ 』

とても楽しそうだ。

『よかったじゃないッスか!』

俺はそう言ったけど、実は本心じゃなかった。

(先輩がうらやましいなぁ・・・。 それに比べて俺は・・・。)

てゆううらやましい気持ち50%と、

(でもこれから先、そんなうまくいくわけないよ。 先輩とFちゃんじゃ所詮不釣り合いだし・・・。)

てゆう妬み50%で、素直に喜んであげる気持ちは1%も無かったんだ。

そして、そんな自分の心に気付いた瞬間、俺は自己嫌悪を覚えて、同時にある事に気付いたんだ。

(セコイ男はY先輩じゃなくて、俺じゃねえかよ! 情けねぇぇぇ~~~。 >< )

って事に・・・。

そしてそう考えると、俺はますます落ち込んでいったんだ。

不思議だよね? 誰かに振られた訳でもないし、特に何か悲しい事があったわけでもないのに、そんな気持ちになるなんて・・・。

まあ今考えたら不思議だけど・・・、俺はそん時、マジでそう考えて落ち込んでいたんだよね・・・。

そしてまた、

(落ち込みやすいのもY先輩じゃなくて俺だな。 それに比べてY先輩は凄いよ。 へこたれずやるときはやるからね。 それに比べて俺は・・・。)

そんな絶望感にもとらわれていた。

『D君、最近元気ないね。 どうしたの?』

なんて、会社の先輩女子社員に心配されるくらいの落ち込みようだったんだ。

そして、季節はいつの間にか秋になっていた。

Y先輩はと言えば、Fちゃんとの仲は順調らしく、しょっちゅう晩飯一緒に食ったり、休みの日にデートしたりしているみたいだった。

一方、俺は相変わらずイジイジと、別れた彼女とSの事を交互に考えながらボンヤリ毎日を過ごしていたんだ。

そんな時、ある事件は起こったんだ。

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16.俺のユーウツ

その日、会社に出社したY先輩の顔は満面の笑みだった。

『やったぜ。 おっしゃぁ。 (^_^)v 』

この前係長にこっぴどく叱られた影響でその日のガッツポーズは控えめだったけど、一仕事終えた男の自信と満足感が全身に満ち溢れていた。

『今度は2対2だ。 金曜日の夜予定空けといてくれ。』

『もうひとり来るのはSですか?』

『違うよ。 あいつじゃないから安心しろ。 俺もあんな女が一緒じゃなくってホッとしてるよ。 来るのは大学の時の友人らしいぞ。』

『そうですか・・・。』

『何だお前、元気がないな。 体調悪いのか?』

『いいえ・・・。 分かりました。 金曜ですね。』

と言ったものの何だか気分が乗ってこない。

俺はその時、、Sがこの合コンのこと知ったら何て思うだろうと考えてしまったんだんだよね。

(軽い男って思うだろうな・・・。)

そう思うと、行く気がしなかったんだ。 

まあ、実際んとこはSは別に何とも思わないだろうけどね・・・。

Y先輩は元気のない俺に怪訝な顔してたけど、まさか俺がSに好意持ってるなんて思いもしないみたいだ。

そんなわけで結局、金曜の朝、

『先輩、何か気分悪いんで、申し訳ないけど今晩はやめときます。 誰か他の人誘って下さい。』

って、Y先輩に言ったんだ。 

Y先輩は、そんな俺の気持ち知らないから、俺の体調気遣いながらも大慌て。 

アタフタしてもう1人のメンバー探してたけど、それはすぐに見つかったみたいで安心してた。

うちの会社は毒男多いから合コン行きたい奴なんていくらでもいるんだよね。

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15.これって恋?

しかし、その時はまだ自分でもそれが恋愛感情だとは思わなかった。

(この女生意気だけど、意外といーとこあんじゃん!)

てゆう程度の意識。 ・・・だと、自分では思ってた。 

でもホントのとこ言うと、実はそん時俺はSを昼飯に誘ったんだ。

『せっかく誘ってもらって悪いけど、あたしは弁当持ってきたからいいよ。』

って断られたけどね。

そして、この事が自分の心にブレーキをかけていたのかもしれない。

何せ俺は昔から慎重っていうか、ヘタレってゆうか、振られる可能性が高い時は口説かないことにしてるからね。

相手が俺に好意を持っていると確信できなければ誘いも出来ない臆病な男だったから・・・。

さて、お盆休みも終わると、以前のように俺はY先輩の車に同乗して通勤するようになった。

Y先輩も先日の合コンでSに冷たくあしらわれてるから、もうFちゃんのこと諦めムードだった。

だからもう俺の役割終わったって感じだったけど、K幼稚園の前まで来るとつい無意識にSの姿探しちゃうんだよね。 Sは夏期休暇に入っているからいないっての分かってても・・・。

その日もそう思って車内からボーとK幼稚園の方を見ていたんだ。

そしたらFちゃんが見えたんだ。 1人門の前を掃除していた。  

『あ、先輩っ!!』

『何だ?』

『止めて止めて! 早く!早く!』

キキィィィーー!!

『何だ! 何だ!』

『Fちゃんが門の所にいますよ。』

『ナヌッ!』 

『どうしますか・・・?』

Y先輩は10秒くらい考えると俺に、

『お前が車運転して会社行ってくれ。 俺は電車で行くから!』

と言い、車を降りてFちゃんの方へ歩いて行ったんだ・・・。

そん時のY先輩の後ろ姿、ヘタレの俺から見るともの凄くカッコよくって、まぶしく見えたなぁ・・・。

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14.悲しいウサギ

俺達に対する態度とはまるで違くて、ウサギには優しいSであった。

『いっぱい食べて早く元気になってね。』

優しく語りかけるS。

しかし、そのウサギは余り食欲が無さそうだ。 どのくらい餌をあげたのか分からないが、餌箱にはまだたくさん残っている。

おまけにこのウサギ、毛の艶も悪く、円形脱毛症みたいにところどころ毛が抜け落ちている。

『このウサギ病気? 何だか元気ないね。』

俺がそう言うと、Sは悲しい顔になって、

『ミルク(ウサギの名前)はね、可哀想なウサギなんだよ・・・。』

と、ポツリと言った。

『ミルクは、この子達の母親なんだよ。』

Sは他のケージを指さした。 他にもケージが幾つかあってそれぞれに1羽ずつウサギが入っている。

『この子らがミルクのこといじめるもんでさ。 毛が抜けちゃったんだよ。』

『・・・。』

『ミルクはね・・、出産前に一生懸命に巣作りしてさ・・・。 お腹痛めて産んでだよ・・・。 産まれると一生懸命に子ウサギを一羽一羽綺麗にしてあげてさ・・・。 授乳もしてさ・・・。』

Sの声が段々涙ぐんできた。目もウルウルしている。

『ミルクは子ウサギたちをそんなに大事に育ててあげたのに・・・。 それなのに子ウサギの奴らってばっ! 自分たちが大きくなったらミルクを寄ってたかって邪魔者扱いだよっ!』

横を向いたSの目からポロッポロッと滴が落ちるのが見えた。

それからしばらくSの声は途切れ、鼻水をすする音が聞こえた。

『すぐケージを分けて離してあげなかったあたし達も悪いんだけどさ・・・。 勉強不足でミルクに迷惑かけちゃった・・・。』

俺は、何て声掛けていいのか分からなかった・・・。

『しかし、何だね・・・。』

Sは、地面を見つめた。

『動物の社会でさえこんな事が起こるんだから、虐待やイジメを無くすって事はきっと想像以上に大変な事なんだろうね・・・。』 

Sはそう言って、ため息をついた・・・。

『悲しいけど、人間もただの動物なんだよ・・・。』

『・・・。』

『でもやっぱり・・・、やっぱり人間は理性があるんだから、それを解決していかないとね。』

Sの声に力がこもった。

『あたしは、そんな事のために少しでも力になれればいいなと思って幼稚園の先生になったんだ・・・。』

Sは、目の周りの涙を指先で拭い、少し恥ずかしそうに笑った。

そして、俺は、その瞬間にSに恋をしてしまったのだった。

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13.ムカツク女

合コンの翌日、K幼稚園そばのファミレスに飯食いに向かってたら、K幼稚園に人影がいるのが見えた。

お盆休みのはずなのに誰だ?)

覗いて見ると、長身にスケート選手のような逞しいお尻、水泳選手並みのガッシリした肩幅、紛れもなくSの後ろ姿だった。

声をかけようかと思ったが、俺のいる所からでは遠すぎる。

迷ったが、S以外他には誰もいないようなので、思い切って入り口の門を空け中へ入り、

『おはよう!』

と、声をかけた。

『おはようじゃないよ。 もう昼だよ。 眠そうな顔しちゃって・・・。』

振り向いたSの一言。 相変わらず口が悪い女だ・・・。 (-_-)

しかし、その後ニコッと笑って、

『昨日はごちそうさまでした。 m(_ _)m 』

と、頭を下げられた。

『あ、いいえ・・・。 (*^_^*) 』

何だか、全く期待してなかった人からお礼の言葉を貰うとうれしいもんだね。  (^_^)

Sって意外と礼儀正しい淑女なのかも・・・。

『今日休みだよね? どうしたの?』

『見りゃわかるでしょ。 ウサギに餌あげに来たの!』

『・・・。 (-_-;) 』

やっぱりムカツク女である・・・。 

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12.続・合コン

K幼稚園では、夏休みの間も預かり保育があり、先生達は前後半交代で休みを取るらしい。

しかし、Y先輩の気持ちは知ってたはずなのに・・・、これって絶対確信犯だよな。

合コンが始まってから約1時間、最初はブスッとしていたY先輩だったが、酔うにつれハイテンションになると、Sにやたら話しかけるようになった。

『ねえ、Sちゃん! Sちゃん!』

『・・・さっきから馴れ馴れしく、ちゃん付けで呼ばないでくれる? (-_-;) 』

『あ、ゴメン、ゴメン。ねぇ、Fちゃんって彼氏いるのかなぁ?』

『Fちゃんて幾つ?』

『Fちゃんの趣味は?』

『Fちゃんの血液型は?』

『るさいっ! そんなのFちゃんに直接訊いてみなよ!』

俺はそんな2人の会話にハラハラして、とても合コンを楽しむ余裕なんて無かった。

一方、他の奴らにとってはそんな事はもちろんどーでもよく、

男1『ねぇねぇ、君たちってどういう関係?』

女1『高校が一緒なんですぅ。』

男2『年齢違うよねぇ。 部活関係?』

女2『え、えぇ・・・、テ、テニス部の先輩後輩なんですぅ。』

この時、Sがジロッと女達を睨んだが、その時の俺にはSの行動の意味が分からなかった。

ちなみに、女は計6人来たが、そのレベルときたら・・・。

しかし、1人だけ超可愛い子がいた。 名前をR美という。 

芸能人で言うと、モー娘の道重さゆみに似ているR美は、小柄でベビーフェイスでまるで中学生のようだ。

しかもいつもニコニコ愛想良く、甘えるような話し方をするので男が放っておけないタイプと言って良いだろう。ちなみに仕事はナースとの事。

野菜に例えれば(なぜに野菜?)、ショートケーキの上に乗っている苺(苺って野菜って知ってた?)って感じかな。

それに比べ他の5人は、ジャガイモ、カボチャ、大根、ゴボウ、タマネギ。

ちなみにSはタマネギです。 何故かって言うと、扱い方によってはこっちが涙ボロボロになるまで泣かされるからです・・・。

当然、男どもの関心はR美に集中する。

男1『R美ちゃんがいる病院だったら俺も入院したいなぁ。』

男2『俺、今心臓バクバクしてるけど、診察してくれる?』

男7『恋の病って言いたいんだろう? このバカ!』

R美『いやだぁ、もう! みなさんったら! キャッキャッ!』

こんな調子である・・・。

他の女どもは当然面白くない。 ブスッとしている。 ブスがブスッ・・・(失礼しました)。 雰囲気は最悪である・・・。

そして男どもは、調子良くR美にアルコールガバガバ飲ませるもんだから、R美の顔は真っ赤だ。

R美『フゥ~、熱くなってきちゃった・・・。』

S 『ヤバっ! 危険信号だ。 帰るよ!』

Sの一言で女達がさっさと帰り支度を始めた。

男1『ええ~~、もう帰るの!』

男2『この後、カラオケ行こうよ!』

男達の願いも全く無視して女どもは一斉に帰っていった。

飲み代は当然の様に全く出さないまま・・・。

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11.合コン

お盆休み中に合コンは行われた。

-合コン当日-

待ち合わせ時間より30分も早く着いた俺達は先に席について、今か今かとK幼稚園様ご一行を待っていた。

『いいかみんな、今日は俺がFちゃんと会うために催された合コンだ。 くれぐれもFちゃんには手を出さないでくれよ。』

・・・Y先輩、それ何度も聞いたってば。 Y先輩の事をセコッ!、というSの言葉もうなずけるかも・・・。

しかし、みんなワクワクして、Y先輩の話なんか完全無視である。

男1『俺、保母さんと一度合コンしてみたかったんですよ。』

男2『保母さん・・・。 うん、響きがいいよな。』

(もしもし、幼稚園の先生は保母さんって呼ばないんですけど・・・。)

『こんばんは。』

Sの声がして待ちに待った女の子達が入ってきた。

『こんば・・・?』

ん? ・・・おかしい。 俺はここ2週間くらい毎日K幼稚園の前を注意深く見ながら通り過ぎていたが、S以外知った顔がいない。

『おい、Fちゃんがいないぞ。』

Y先輩が俺に耳打ちした。

『そうですね・・・。 後から来るんじゃないですか。』

しかし、それをSに聞く暇もなく、合コンはスタートした。

一通り、自己紹介が終わると、幼稚園の先生はSだけだった。

『D、どういうことだよ?』

Y先輩の俺を見る目が厳しくなった。 寮のみんなも不思議そうな顔をしている。

『Sさん、Fちゃんは?』

『来ないよ。』

『ハァ!』

『え、来られなくなったの?』

『元々来る予定無かったよ。 だって、Fちゃんは今夏期休暇中で幼稚園には来てないから。』

『えぇ~!、だって・・・。』

『あたしあの時、幼稚園のメンバーで来るなんて一言も言ってないっしょ。』

Y先輩のショックは説明するまでも無いだろう・・・。

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10.独身寮は大騒ぎ

『マジか? うぉぅ! やったぜぇぇぇ!!!』

Y先輩の喜び方は凄まじかった。 総務部のみんなが振り返った。

おかげで、

『Y! D! チョット来い!』

なんて係長に呼ばれて、

『静かにしろ! お前らのせいで俺の管理能力が疑われるだろ! もう・・・会社ではちゃんと仕事しろ!』

俺までネチネチと係長に怒られた。

こんな事してたら、俺もそのうちリストラ要員にされるかも・・・。 Y先輩との付き合い方考えようかな・・・。

寮に帰ると、Y先輩は合コンの人選について真剣に考えていた。

ホントはY先輩は2対2でやりたかったらしいが、Sが5、6人連れてくると言ったのだ。

Y先輩の考えでは、もちろんイケメンは呼ばないらしい。 かといって暗い奴は場が悪くなるので、場を盛り上げられる明るい奴を呼びたいらしい。

メンバーを決めるとY先輩は、密かに1人1人に当たりだした。

しかし、合コンの情報はあっという間に寮全体に知れ渡ってしまった。

ドヤドヤドヤ! ドヤドヤドヤ!

寮のほとんどの奴らが俺とY先輩の部屋へ集まって来た。

男1『K幼稚園と合コンするんだって!?』

男2『俺行きたいッス!』

男3『Y、俺は呼ぶよな!』

男4『俺も!』

男5『ボクも!』

収拾がつかなくなってしまった。

中には彼女がいるのに合コンやりたいという厚かましい奴もいる。 しかし、もちろんそんな奴は却下だ。

結局、Y先輩と俺以外はくじ引きで決定することになった。

男3『うぉぉぉ~~! 外れたぁ!』

男7『ヤッタァ! 合コンだぁ!』

ヤッパみんな合コンしたいんだね・・・。

大盛り上がりのまま、夜は更けていった・・・。

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9.続・合コンへの道

K幼稚園の勤務パターンを調べてからは余り慌てる必要もなくなった。

Sが門のそばにいる頃を見計らって出かければいいだけだ。

都合よくその時間は出社のタイミングとピッタリだった。

そしてその日の朝、Sは門の外で1人、草取りをしていた。

『おはよう!』

『あ、おはよう。』

『今日は何か随分丁寧だね。』

『明日からお盆休みで今日は大掃除だよ。』

『はぁ、そうなんだ・・・。』

『はぁ、そうなんだ・・・って。 あんたの会社だってお盆休みくらいあるでしょーが。』

『ああ・・・。うちはあさってから。』

『・・・。』

今までSとこんな長く話したこと無かったから何か緊張して、俺の返事も何処か間が抜けていたんだ。

『お盆休みはどーすんの?』

『お盆休みは特に予定ないけど、続けて夏期休暇に入るからそしたら友達と旅行に行く予定になってるけど。』

『じゃあ、それまで暇?』

『まあ、暇っていえば暇だけど・・・。何? あたしをナンパでもする気?』

と言って、Sがコロコロと笑った。

その時、俺は初めてSの笑顔を見た。 意外と可愛かった(今思えば大いなる勘違い)。

『あのさ、合コンしない?』

『え? あんたマジでナンパする気?』

『実は先輩に前々から頼まれててさ。』

『ああ・・・、あのタバコ男。』

Sの顔が急に曇った。 Sの方もやはりY先輩にいいイメージが無いらしい。

『夏祭りの日、先輩が声かけた先生覚えてる。』

『ああ、Fちゃんね。』

『そのFちゃんと会いたいから合コンの手配してくれって言われてるんだよ。』

『ハァっ!? ・・・Fちゃんと会いたいなら自分で誘えって言っときなよっ!! 後輩にやらせるなんてセコッ!! そんな男が一番女に嫌われるんだよっ!! 最低だよっ!! 最低男っ!! 』

そう言ったSのドタマから蒸気機関車が発車しそうになっている!

しかし、そこまで言うか・・・。 (^^;)

『いやいや、先輩だけじゃなくて寮のみんなも合コンしたいって言うから・・・。』

Sの怒りを和らげようと、俺は思わず勢いでそう言ってしまった。

『他にも来るの?』

『うん、来たい奴いっぱいいる。なんせ独身男子寮だから。』

『ふ~ん。』

そう言うと、Sは、途端に押し黙り、何か考え込む様子になった。

『・・・いいよ、やっても。』

『ホ、ホントに?』

『ホントだよ。あたしは嘘つかないよ。』

『やったっ! !(^^)! ありがとう! 先輩も喜ぶよ! ・・・いや、みんなも!』

その時俺は飛び跳ね、それから気が付いたら会社に着いてたっていうくらい嬉しかったんだ。

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8.合コンへの道

翌日から俺は、Y先輩とは別行動で、寮から会社まで市電で通わされるハメになってしまった・・・。 ><。

Y先輩は手っ取り早くSに合コン申し込んで来いと言ったけど、俺にはそんな度胸はもちろん無い。

とりあえず、毎朝K幼稚園(上村愛子似のいる幼稚園)の様子を伺いながら会社へ向かうのが日課となっていた。挙動不審者と警戒されないかとビクビクしながら・・・。

おまけにY先輩は、俺に上村愛子とは直接仲良くなるなとクギを差していたから(ホント自分勝手!)、作戦は益々難度を高くしていた。

まずは情報収集だと思った俺は、いとこの幼稚園教諭に電話して幼稚園での勤務の様子を訊いた。

『D(俺の名前)、幼稚園の先生が好きになったんだ! へぇ!』

先輩に頼まれて電話したと言っても、いとこは信用しなかった。俺も説明するのもかったるいから強く否定しなかった。

『そこ公立幼稚園だよね。 いいなぁ! 公立は勤務時間が短くて楽なんだよ・・・。』

それからひとしきり、いとこの愚痴を聞いてあげなければならなかった。 残業代も出ないし、保護者には難癖つけられるし、幼稚園の先生も大変なんだね・・・。

愚痴がひとしきり終わると、いとこは好奇心丸出しながらも、俺の質問に親切に教えてくれた。

ただ最後に、

『幼稚園の先生って言うと優しいイメージを持たれるけど、実際は気が強い女が多いんだよね。Dも気を付けなよ。』

と、言っていた。

その時はすぐに忘れてしまったが、もっといとこの言う事に注意を払っていればなぁ・・・。

今こんなに苦労することはなかった。 ><。

さあ、気を取り直して話を進めるが、俺は有休休みの平日、K幼稚園そばのファミレスで、張ってみたりもした(・・・しかし、こう改めて書いてみると間違いなく俺は不審者かストーカーだな・・・。)。

え? どうしてお前がそこまでやるかって? 

俺も彼女がいないのが段々と寂しくなってきて、あわよくばその合コンで彼女が見つけられないかと思っていたんだよね。 

そうこうするうちに、K幼稚園の勤務状況が大まかながら分かってきたんだ。 やっぱ努力は嘘つかないね。(もっと別なところで努力すればいいと思うが・・・)

K幼稚園の先生の出勤は7時半頃。

それから園内や運動場・門の前の清掃をして子供達を待つ。8時前後から子供の登園が始まる。 しかしこの時間帯はまだパラパラで、ピークは8時45分~9時の時間帯だ。

子供達の降園は1時半~2時半頃である。先生達は5時~6時頃帰っていく。

そして朝方も、門の前でSやK幼稚園の先生を見かければ挨拶を交わして、自分を認識してもらう努力もしていたんだ。(大抵門の所にはSがいたが、時たまいる他の先生方はただの通りすがりの俺を認識していたかどうかは不明)

そんなある日、ついにチャンスが来たんだ!

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7.Y先輩の陰謀

その日の夜、俺とY先輩は、独身寮の近くにある行きつけの居酒屋にいた。

珍しく口数が少ないY先輩は、これもまた珍しく真剣な顔で、

『頼みがあるんだけど。』

と、俺に言った。

『・・・何ですか?』

俺は何か嫌な予感がした。

『お前、あの幼稚園の先生達と合コン設定してきてくれ。』

『はぁ??』

『そんな顔せずに頼むよぉ! m(_ _)m 』

『嫌ですよ! 自分でやればいいじゃないですか!』

『ダメダメ! ほら、俺は、歩きタバコ事件でイメージ悪いし・・・。』

『そんなの、Sって女の時の話でしょ? あの上村愛子とは関係ないじゃないですか。』

『関係あるよ。 だって俺達が顔見知りなのはSの方だろ。』

『か、顔見知りって言うんですかね? (^_^;) 』

『だからSに頼んで設定して貰うしかねえじゃねえかよ!』

俺の質問は無視かよ・・・。 (-_-;)

『自分でやって下さいよ。』

『だからぁ! 俺はイメージが悪いって言ってんじゃねえかよ! 人の話を聞け!』

ぎゃ、逆切れかよ・・・。(=_=)

『・・・。』

『だから頼むよ!』

『いやいやいや! 俺にはできませんって! ナンパもできない人間なんですから・・・。』

『いいか、よく聞け!』

Y先輩は、バッと身を乗り出すと、おもむろに俺の肩を掴んだ。

『俺達は今総務部だ。 しかし、いつ人事異動で他の部署へ異動になるかもしれん。』

『はぁ?突然何ですか?』

『営業部に異動になったとして、ボクは営業できませんなんて言えると思うか?』

『それは言えませんね・・・。 でもそれがさっきの話と何の関係があるんですか?』

『関係あるんだよ! 女と仲良くもなれない奴が営業出来るわきゃねえんだよ!』

『そんなもんですか・・・。』

『そんなもんだ。 いいか? 将来営業部に移動になったときのための勉強と思ってやれ。 任せたぞ!』

と、ポンと肩を叩かれた。

何だかうまく丸め込まれた気が・・・。

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6.Y先輩の恋

それからのY先輩はどうしたかと言えば、シュンとして帰ってきて、祭りが終わるまで元気が無かった。

ハイテンションにもなりやすいが、落ち込みやすい人なのである。

さて、そんなことは俺にはどーでもよく、張り切って参加したものの、昼から夕方まで御輿を担いで疲労困憊した。

だって、こんなに御輿を担ぐのが大変だとは思わなかったよ。

なんせ御輿は想像以上に重たいし、ワッショイワッショイのかけ声に合わせて大揺れに揺れる御輿の担ぎ棒がガンガン肩に当たってメッチャ痛い。身長171の俺はまだいいけど、身長182のHなんかは半泣きで担いでいた。

ほんでもって御輿の下は満員電車みたいに混雑してるから、足は踏まれるし、カカトはけ飛ばされるし、そりゃあもう大変だった・・・。 ><。

普通の地味なお祭りでもこんなに大変だから、俺みたいな根性ナシは、とても岸和田みたいな喧嘩御輿なんか担げないと思ったね。つくづく・・・。

さて、翌日曜日。

肩のヒリヒリで目が覚め、腕と足は筋肉痛でゴワゴワパンパンだったから、温泉でも行ってマッサージして貰おうかなと思っていた俺だったが、Y先輩にしつこく誘われ祭りへ。

しかし、Y先輩は、何を買うでもなく縁日をそそくさと見て回ったり、仮面ライダーなんとかのキャラクターショーを覗き込んだり、かなりの挙動不審者である。

『ここにもいないな。』

『ん。誰がですか?』

『昨日の幼稚園の先生だよ。』

『はぁ・・・?マジですか?』

『もちろんマジだよ。俺は一目惚れした。』

Y先輩、そのセリフってA子の時も言ってませんでしたっけ・・・。

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5.夏祭りの日に

夏祭りの日、俺とY先輩を含めた独身寮の連中は、とある神社の前の広場にいた。

何故かというと神輿を担ぐためだ。

我が独身寮では数年前から夏祭りで御輿を担ぐことになっている。

これは御輿の担ぎ手がここ数年減ってしまったために、祭りの主催者からうちの会社に協力を依頼されたからである。

結果、俺達独身寮の住人は、会社の社名入りハッピを着て祭りに参加している。

Y先輩達がメンド臭そうな中、俺は初めての経験にワクワクしていた。一度御輿を担いでみたかったんだよね。

さて、本格的な祭りの前に主催者や来賓の方々の挨拶が始まっているとき、Y先輩が俺をつついた。

『おい、あの子可愛いよなぁ!』

Y先輩の指さす先には赤いハッピを着た幼い子供御輿の一団がいた。

『ホント、子供って可愛いっスよねぇ・・・。』

『違うよ!隣に立ってる女だよ!』

どうやらY先輩が言っているのは、隣の青いハッピを着ている女の事らしい。

見たところ20代前半か、子供達の鉢巻きを直したり鼻水を拭いてあげたり、甲斐甲斐しく世話を焼いている。

どことなくスキーモーグルの上村愛子に似ている。

『保母さんか幼稚園の先生ですかね?』

『優しそうで、この前の女とは大違いだよな。あんな可愛い先生だったら俺も子供に戻ってみてぇ!』

どうやら歩き煙草を注意をされたことをまだ根に持ってるらしい。

『あ、ゴメンゴメン!トイレが混んでて!』

そこにもう1人、青いハッピを着た女が上村愛子の元へ歩いてきた。

『もう1人来たぞ。あの子もまぁまぁじゃん。話しかけてみようぜ。』

途端にハイテンションになったY先輩は、そう言うのと同時に女の子達に向かって歩き始めていた。俺が止める前に・・・。

『ねぇねぇ、君たち保母さん?』

振り向いた女はY先輩を見るなり、目の色が変わった。

『あー!あんた!あの時の!』

『え? え? え? (?_?)』

Y先輩は訳も分からず目をパチクリしている。

『今日はこんなところで煙草吸わないでよ。危ないんだから!』

『イィィィィーーー!!!』

ようやく、Y先輩も気付いたようである・・・。

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4.運命って怖ろしい!

しかし、それをきっかけに俺とSの仲が急速に発展したのかと言えば、そうではなかった。

あれ以来話すきっかけもなく(と言っても出会った時も会話という会話は無かったに等しいが)、月日だけは過ぎていった。

それにあの時俺は、Sの事を気が強くて苦手なタイプの女だなぁと思ったし、SもY先輩と一緒にいた俺にいいイメージは持っていなかったので、発展のしようも無かったのだ。

ただ、Sの幼稚園は俺の通勤路にあるので、何とはなしに幼稚園が目に入って、そのついでにSの姿を見かけた事もあった。

しかし、今思えばあの出来事のせいで妙な興味が沸き、Sの姿を無意識に探していたのかもしれない、とは思う。

でも、俺にはその時、彼女がいたし恋愛感情なんてものはサラサラ無かった。

しかし、運命は急転する。

Sと再会する直前に、俺の事情は大きく変わっていた。

それは何かというと、大学1年の時以来付き合っていた彼女との破局を迎えていたのだ。

一人っ子の彼女が大学卒業を機に実家に帰り、二人は離ればなれになってしまっていた。

それでもしばらくは遠距離恋愛を続けていたが、彼女は郷里で新しい彼氏を見つけ、俺は振られてしまったのである。

なお付け加えれば、Y先輩が好きなA子に彼氏がいることが発覚しY先輩の心も傷心だったという事が俺とSとの仲を急速に発展させてしまったのであるから、人の運命とは偶然の産物だとつくづく思う・・・。

果たしてこれは傷心の俺に神様が与えてくれたプレゼントだったのか? ・・・いやそれとも試練なのか???   ><。

・・・前置きが長くなってしまったが、先へ進もう。

俺とSのターニングポイントは夏祭りにあった。

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3.哀しい理由

『あ、園長先生。』

『S先生、あなたまた何かやらかしたの!』

どうやら、よく何かをやらかす女らしい・・・。

『いえ、園長先生!やらかしたのはこの人なんです。』

と、Sと呼ばれた女はY先輩を指さした。

言われて、園長先生はY先輩を見た。

『えー!俺は何もやらかしてないだろ!』

Y先輩は叫び、

『なあ?』

と、俺を見た。

『先輩は歩きタバコをしていて、それをこの人に注意されたんです。』

と、俺は言った。

『ほら、歩きタバコをやらかしてたでしょーが!』

Sは、ほら見ろと言わんばかりにY先輩を睨んだ。

『うるさいっ! タバコの何が悪い!』

『まだ、分かんないの!バカ男!』

『バカ男とは何だよ!』

お互い今にも掴みかかりそうな一触即発の雰囲気だ。

『まあまあ、先輩。落ち着いて。』

『S先生!やめなさい!』

園長先生と俺は、慌てて間に割って入った。

『とにかくあなたは園に戻って掃除でもしていなさい。』

園長先生に言われ、Sは渋々幼稚園の中へ戻って行った。

『何なんスか!あの女は!』

それでもY先輩の興奮は収まらない。

『実は以前この近くで、登校中の小学生の顔に通行人のタバコの火が当たって、大騒ぎになったことがあったんです。』

と、園長先生が言った。

『あと3cmずれていたら失明の危機だったらしくて・・・。それ以来あの子は歩きタバコが許せないんですよ。』

『・・・。』

園長先生の話を聞き、Y先輩の怒りの火種も急に収まったようだった。

『正義感が異常に強いだけで、ホントに悪気はない子なんで勘弁してあげて下さい。』

『あ、いいえ・・・。』

『それからなるべく通学路では、歩きタバコはご遠慮していただくとありがたいんですが・・・。』

『分かりました。気を付けます。』

これが俺とSとの出会いだった。

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2.怒鳴る女

女は、俺達にちょっと怒ったような視線を向けていた。

『俺達の事?』

Y先輩が訊いた。

しかし、その質問には答えず、

『ここはスクールゾーンになってて幼稚園児や小学生が大勢通るから、歩きタバコはやめて下さい。』

と言った。

女は、白のトレーナーの上にピンクのエプロンをしていて、エプロンの腰の部分にはキティーちゃんの顔が2つ並んでいた。

それが厳しい女の表情とはまるで不釣り合いで何だかとてもおかしかったが、もちろん笑える雰囲気ではまるで無かった。

『ああ、タバコ・・・。』

Y先輩は、そう言うと一口タバコを吸い、

『大丈夫、大丈夫!気を付けて歩くから。』

と言った。

『全~然!大丈夫じゃないよ!』

突然、女は大声を上げた。

『さっきからあんた、タバコを持つ手を振り回して歩いてるから、危なっかしくてしょうがないんだよ!』

女の剣幕に一瞬たじろいだY先輩だったが、

『そんな怒鳴らなくたっていいだろ!』

と、怒鳴り返した。

『あんたが怒鳴らなきゃ分からないから、悪いんでしょーが!!』

Y先輩に負けじと女の怒鳴り声は更にヒートアップした。

そばを通る通行人達がパチクリした目で、Y先輩と女を交互に見た。

『S先生!何やってるの!』

その時、目の前にある幼稚園から、慌てて年輩の女の人がすっとんできた。

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1.出会い

自己紹介も無く、唐突に話は始まる。

そして、話はいきなり4年前に遡る。

つまり、カレンダーは全く無視である。

そしてこれからも、まるっきりカレンダーなど無視して話は進んで行くであろう。

そんなブログである。

-4年前-

俺がSと出会ったのは、大学出たての社会人1年生の時の事である。

その当時、俺は会社の独身寮に住んでいて、いつも会社のY先輩の車に同乗させてもらって出勤していた。

しかしその朝、俺達は車を寮の駐車場に置いて、出勤のために15分ほどの所にある市電の駅に向かって歩いていた。

と言っても車を置いて出かけるのは決して珍しい事ではなく、飲みに行く予定がある日なんかはよくそうしていた。

『よっしゃ! 今日は飲み会だ!』

Y先輩は朝からハイテンションだった。いつもの寝ぼけ眼の、機嫌が悪そうな朝とは大違いだ。

その日は月末総会の日だった。

月末総会の日、わが社では、当月の業務報告及び来月やるべき業務内容についての話し合いが持たれる。

というと大変そうだが、その日は半分お遊ぶみたいなもので、終始リラックスした感じで行われる。

仕事も5時にはキッチリ終わり、その後は打ち上げである。

ところで、Y先輩が何故ハイテンションなのかというと、飲み会が好きだという理由だけではない。

今日を機会に、俺と同期入社のA子と仲良くなろうという魂胆である。

Y先輩は駅までの公道だということも忘れ、大げさに身振り手振り付きでA子の可愛さと、俺に協力しろという事をしつこく語った。

『ちょっと、すいません。

ふいにそう呼ばれた気がしたが、俺達は自分達の事だとは思わずそのまま歩き去ろうとした。

『ねえ、ちょっとぉ!ちょっと!ちょっとってば!』

更にザ・タッチみたいに呼ばれた。そこでどうやら俺達の事らしい事に気が付いた。

『ん?』

振り向くとそこには、1人の若い女が立っていた。

それが俺とSとの初めての出会いである。

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