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24.乙女達の真実

『え!? いや、あの・・・。』

顔から頭から汗がブワッと出てきた。

『そんな風に見える?』

『見えるも何もモロバレですよ。』

『モ、モロバレ・・・。 ^^; そうなんだ。 だったら、Sさんも分かってるのかなぁ?』

『そりゃあ、普通の女の子だったら誰でも! ・・・いや、でもあの人は普通の女の子じゃないからなぁ・・・。 極端にそういう事には鈍い人ですからねぇ・・・。』

『ハァ・・・。』

『でも先輩は、強引な男の人に弱いからガンガン行っちゃって下さい!』

(強引にガンガンかぁ・・・。 俺に一番に似合わない言葉だなぁ・・・。)

『Dさんの事どう思っているか、それとなくS先輩に訊いておきましょうか?』

『ブルブル、それはいいよ!』

『そうですか? 私達はいつでも協力しますよ。』

『私達?』

『この前合コンの時来たでしょ。 あのメンバー。』

『ああ、元テニス部の友達ね。』

『・・・実は、元テニス部じゃないんですよ。』

『テニス部じゃない?』

『はい。』

『どーゆうこと?』

『テニス部じゃなくて、実は柔道部なんですよ。 (*^_^*) 』

『じゅ、柔道部ぅ!!? (*_*) 』

『はい。 柔道部って言うと引かれるかと思ったみたいで、思わずそう言っちゃったみたいなんですけど・・・。』

(うーん、あのカボチャやジャガイモたちも一応乙女だったんだな・・・。)

『でもあの後、S先輩が凄く怒っちゃって。』

『・・・。』

『自分たちが大事にしてきた柔道にプライドを持てって。 一生懸命頑張ったんだから胸を張って言おうよって。』

『・・・。』

『私、先輩のそういうところが大好きなんですよ。 (^o^) 』

(うん。 俺もなんかジーンときた・・・。  (T_T)  )

『ところで、他の人たちはともかく、どう見てもR美ちゃんに柔道は似合わないと思うんだけど・・・。』

元柔道部の乙女の方々すいません。  m(_ _)m

『はい、よく言われます。 R美にはフィギュアスケートとかバレエなんかのお姫様みたいなカッコが似合うって。 (*^_^*) 』

『ああ、そう・・・。 (-_-;) 』

『私が柔道始めたのは、実はS先輩がきっかけなんですよ。』

R美は酔ってピンクに染まった笑顔で、柔道を始めたきっかけを話し始めた。

(コメントへの返事です。) オラニエ公さん、ありがとう。 しかし、俺は鬼彼じゃないんだけど・・・。 

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取り急ぎお礼まで

プロ喪男さん、アドバイスありがとうございます。

そりゃそうですよね。

コメントに応えないのに、コメントは来ませんよね。反省・・・。 m(_ _)m

鎖骨さん、聖さん、恋する名無しさん、ありがとうございます。

それから夜9時以降に急にアクセスが増えたけど、誰か宣伝してくれたんでしょうか?

「華麗なる一族」放送中にもかかわらず、ありがとうございます。 m(_ _)m

これからも皆さんヨロシク! (^^)/~~~

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23.R美に誘われて

ここで一言言っておくと、俺はR美に恋愛感情を持っていた訳じゃない。

しかし、おそらくほとんどの男が、 (可愛いなぁ! (*^_^*) ) と思うようなR美から上目遣いに、

『飲みに行きませんか?』

と誘われて、ドキドキしない男が果たしてどれだけいるだろうか?

もちろんこれは既婚者・独身者を問わずである。

こう書くと、

『言い訳かよ!! Sへの純愛だったんじゃなかったの! ガッカリだよ!!』

と、言われてしまいそうだが、これは男の悲しい長崎、じゃなくて佐賀なのである・・・。

しかも、俺達はその時付き合っていた訳でもないし、Sに至っては何度も見舞いに来てくれる親切な男くらいにしか思ってない可能性が大であり、それならばもっと可愛いR美にドキドキしたとしても不思議じゃないよね?

・・・と、前置きが長くなってしまった。

さあ、先に進もう。

場所は変わり、俺とR美はイタメシ屋でワインを飲みながら語り合った。

俺は、その時初めてSのケガの具合を知った。

Sの症状は、靱帯損傷と半月板損傷の合併症という診断である事、損傷した靱帯は内視鏡検査の時に縫い合わせた事、全治までには1ヶ月くらいかかるという事、等を知った。

『でも、Sさん元気そうでよかったよ。』

『先輩、ああ見えても結構落ち込んでるんですよ。』

『え! そうなの?』

『だから、Dさん元気づけてあげて下さいね!』

『え? 俺が?』

『だってDさん、先輩のこと好きなんですよね?』

R美は、覗き込むように俺の顔を見た。

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22.お見舞い

結局、俺がSの見舞いに行ったのはその週末の土曜日だった。

病院へ行ってみるとSの見舞客で病室は一杯だった。

Sのお母さんは、もう1人の入院患者の女性に申し訳なさそうにしていた。

見舞客の全員は女性で、俺が病室に入っていくと、全員の目がドッと俺に注がれてもの凄い緊張で汗が出てきた。

その中には、先日の合コンで一緒だった女の子達もいた。

俺は何だか居心地が悪くて、2度もお見舞いもらってと恐縮しているSのお母さんに花束だけ手渡すと、早々と病院を後にした。

翌週の火曜日の夜、久々に定時に仕事が終わったので改めて病院に見舞いに行くと、その夜の見舞いはR美だけだった。

『この前はゴメンね。 折角来てくれたのに・・・。』

『いや全然・・・。 これ買ってきたんだけど食べる?』

俺はどら焼きとペットボトルのお茶を渡した。 

ちなみに、お見舞いをどら焼きにしたのは、Fちゃんのアドバイスによるものである。 

Sはどら焼きが大好きらしい。 ドラエモンかっ!!。

『ありがとう! どら焼き大好きなんだよ! みんなで一緒に食べよう。 ・・・でも、そんないつもお見舞い持って来なくていいよ。 』

俺達は、どら焼きを一緒に食べた。

俺とR美が1つ食ってる間に、Sはどら焼きを3つ食った!

俺が呆気に取られてSを見ると、

『おとといの昼からご飯食べてないから、お腹すいてお腹すいて!』

『何で? 食欲無かったの?』

『昨日内視鏡検査で麻酔打たれたから、その前に食事制限受けてたんだよ。 でも、その後がビックリ! 目が覚めたのが今日の昼なんだよ。 今でもちょっとボーとしてるけどね。 下半身麻酔のはずなのにね・・・。』

『先輩、その後、もう一本注射打たれませんでした? それか、効きがいいのか、余程眠たかったのかどっちかでしょうね。 局所麻酔で寝ちゃう人たまにいるみたいなんですよね。』

R美がそう解説した。

『そんで今日のお昼はお粥だよ! まるで足りないよ、もう! でもこれからは食事制限は無いっていうから何でも食べられるよ!』

Sは、喜んでいた。

それから俺達は、面会時間ギリギリまで食い物中心の話をして(よっぽど食いもんに飢えてたんだね)、R美と病院を後にした。

その帰り、R美から、

『ちょっと飲みに行きませんか?』

と、上目遣いに誘われた。

何だか、俺ドキドキしてきた・・・。

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21.再入院

Sは元の病院に逆戻りした。

そして、病院に到着したときには、膝は大分腫れていたらしい。

しかし、そこの病院では検査設備も整っていないようなのでI整形外科病院に紹介状を書いてもらい(じゃあ、最初からそうしとけよ!)、Sはそこに転院する事となった。

そこでまたしてもSは検査入院することとなる。

内視鏡検査、MRI検査などで、今度は3、4日かかるとの事。

一方、その事実をY先輩経由で俺が知ったのはまたもや終業時間間際のタイミングバッチリの頃であったが、今度は係長の命により残業で早く帰れそうもない。

実は昨日、口答えしたのが響いて俺は係長の冷たい視線に晒されていた。

また、Sのケガの報告を受けるのも今回2度目だったから先日よりも俺は冷静で、今度は係長に逆らう勢いは無かったんだ。

結局、その日はお見舞いに行けなかった。

今度Sが入院した病院は、会社から1時間半、寮からでも1時間以上はかかる所だったから、残業した後では面会時間には間に合わなかったんだ。

それに冷静に考えてみると、入院当日に見舞いに行くっていうのも何だか非常識だよね?

心は一刻でも早く行きたかったんだけど・・・。

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20.異変

前日言った通り、翌日午後にはSは病院を退院した。 [異常なし]という結果を持って。

Sも退院した時点では前日より膝の痛みも大分引いていたから、安心しきっていた。

そして、その足で幼稚園に戻り、仕事を始めた。 

園長先生は今日は休んでいいと言ったらしいが・・・。

異変はその数十分後に起こった。

子供達と園庭を走り回っている時に膝の痛みが再発したのだ。

しかし、Sは子供達と走り回るのを止めなかった。 

そんなはずは無いと自分に言い聞かせたらしい(そんな事言い聞かせるな!)。

その結果、Sは激痛で立っている事も出来なくなりその場に倒れた・・・。

園長先生以下職員達が駆けつけた時、Sの周りでは園児達がワァワァ大泣きしていたらしい・・・。

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19.入院!?

Y先輩がFちゃんへ再度電話すると、なんとSが病院に入院するという事を知った!

俺は、会社の終業時間が終わるのを待って大慌てで病院へ駆けつけた!

『わぁ! こんなにお見舞い貰えるんだったら入院も悪くないね! (^o^) 』

俺がお見舞いの花と果物を渡すと、Sはそう言っておどけた。

俺はSの元気な様子に拍子抜けした。

『コラッ! すいません。 もうこの子は本当にしょうのない子で・・・。』

Sの母親は恐縮しきりにそう言った。

小生意気なSと違って、お母さんは至って常識的な人だ。

隣には3Lくらいの学生服を着たSの弟が立っている。 ちなみにSの弟はいつも笑っているような愛嬌のある顔をしている。

『大丈夫?』

『全~然大丈夫! うまく足から落ちたから。』

『足をケガしたの?』

『着地のショックで膝痛めただけだよ。 ここは古傷もあるとこだから。』

『だって入院してるし・・・。』

『検査入院だよ。 だからすぐ退院だよ。』

『何だ。 よかった。 (^^) ・・・でも何で木に登ったの?』

『子供達がドングリ欲しいっていうから。』

『ドングリ!』

『今年はドングリが少なくてね。 去年はいっぱい実が成って自然に落ちてきたから登る必要も無かったんだけど、今年は実も少なくて落ちてこないんだよ。』

『・・・。』

『だから木に登って取ろうと思って。 でも実を落とす前に自分が落ちちゃったよ。 アハハハハハ!』

と言って、Sはケタケタと笑った。

『でも、まぁよかったね。 たいしたことなくて。』

『うん、あたしは丈夫だけが取り柄だからね。』

その時Sはそう言ってみんなも笑ったけど、この時、思ったより膝の具合は良くなかったんだ・・・。

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18.緊急事態!

俺がそれを知ったのは、会社の終業時間も迫った日も暮れかけた夕刻、FちゃんからY先輩に届いたメールがきっかけだった。

係長を気にしながら、机の下でメールの内容を確認していたY先輩は、

『ちょっと、電話してくる。』

と言って、席を立った。 

しばらくして戻ってきたY先輩は俺に言った。

『D、今日仕事終わったら飲みに行こうか?』

『え? 今日はFちゃんとデートじゃなかったんでしたっけ?』

『それが中止になっちゃったんだよ。 Sを病院に連れて行くとかでな・・・。』

『びょ、病院!! 何があったんですか!! (*_*) 』

『ああ・・・、何だか木から落ちてケガしたらしいぞ。』

『大ケガなんですか!?』

『K幼稚園に大木は無いからな。 大したケガじゃないだろ。』

『分かりませんよ! 落ち方によっては大ケガだってあり得るし、頭でも打ってた日にゃあ脳挫傷とか・・・。 >< 』

俺の頭の中には嫌な予感ばかりがよぎった。

『お前、大げさな・・・。 大ケガだったら、救急車呼ぶだろ?』

『でも、軽いんだったら病院には連れて行かないでしょ!?』

『念のために連れて行くって事もあるからな。 Fちゃんの声もせっぱ詰まった感じじゃなかったし。』

俺は、Y先輩ののんびりとした物言いにもの凄く腹が立った。

『だからぁ、それは先輩の想像でしょ? (-_-;) 骨折してるかもしれないしィ!』

『まあ、骨折だったらあり得るかもな。』

『骨折だったら十分大ケガですよ!』

『おい! そこうるさいぞ! つっ! またお前らか・・・。 ったく!』

係長のメガネの奥の細い目がキラリと光った。

『すいません・・・。 ^^; 』

『今、緊急事態なんですよ! すぐ終わりますから!』

俺は、Sが心配でそれどころじゃなかったんだ。

『・・・。 (@_@) 』

先輩は係長に対する俺の態度に呆気にとられていたが・・・。

『先輩! Fちゃんに連絡取ってケガの具合はどれ位なのか必ず訊いといてくださいね!』

『・・・。』

『お願いしますよ!』

『・・・。』

『・・・何ですか? ニヤニヤして・・・。』

『フ~~ン。 そうか、そういう訳だったのか・・・。』

『な、何ですか?』

『まあ、いいってことよ。 (^_-) 』

今度は、Y先輩の目がキラリと光った。

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17.俺って最低?

金曜日の深夜、Y先輩は上機嫌で帰ってきた。

『次は二人で会う約束しちゃったよ~。 どこがいいかなぁ~。 ルンルンルン。♪ 』

とても楽しそうだ。

『よかったじゃないッスか!』

俺はそう言ったけど、実は本心じゃなかった。

(先輩がうらやましいなぁ・・・。 それに比べて俺は・・・。)

てゆううらやましい気持ち50%と、

(でもこれから先、そんなうまくいくわけないよ。 先輩とFちゃんじゃ所詮不釣り合いだし・・・。)

てゆう妬み50%で、素直に喜んであげる気持ちは1%も無かったんだ。

そして、そんな自分の心に気付いた瞬間、俺は自己嫌悪を覚えて、同時にある事に気付いたんだ。

(セコイ男はY先輩じゃなくて、俺じゃねえかよ! 情けねぇぇぇ~~~。 >< )

って事に・・・。

そしてそう考えると、俺はますます落ち込んでいったんだ。

不思議だよね? 誰かに振られた訳でもないし、特に何か悲しい事があったわけでもないのに、そんな気持ちになるなんて・・・。

まあ今考えたら不思議だけど・・・、俺はそん時、マジでそう考えて落ち込んでいたんだよね・・・。

そしてまた、

(落ち込みやすいのもY先輩じゃなくて俺だな。 それに比べてY先輩は凄いよ。 へこたれずやるときはやるからね。 それに比べて俺は・・・。)

そんな絶望感にもとらわれていた。

『D君、最近元気ないね。 どうしたの?』

なんて、会社の先輩女子社員に心配されるくらいの落ち込みようだったんだ。

そして、季節はいつの間にか秋になっていた。

Y先輩はと言えば、Fちゃんとの仲は順調らしく、しょっちゅう晩飯一緒に食ったり、休みの日にデートしたりしているみたいだった。

一方、俺は相変わらずイジイジと、別れた彼女とSの事を交互に考えながらボンヤリ毎日を過ごしていたんだ。

そんな時、ある事件は起こったんだ。

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16.俺のユーウツ

その日、会社に出社したY先輩の顔は満面の笑みだった。

『やったぜ。 おっしゃぁ。 (^_^)v 』

この前係長にこっぴどく叱られた影響でその日のガッツポーズは控えめだったけど、一仕事終えた男の自信と満足感が全身に満ち溢れていた。

『今度は2対2だ。 金曜日の夜予定空けといてくれ。』

『もうひとり来るのはSですか?』

『違うよ。 あいつじゃないから安心しろ。 俺もあんな女が一緒じゃなくってホッとしてるよ。 来るのは大学の時の友人らしいぞ。』

『そうですか・・・。』

『何だお前、元気がないな。 体調悪いのか?』

『いいえ・・・。 分かりました。 金曜ですね。』

と言ったものの何だか気分が乗ってこない。

俺はその時、、Sがこの合コンのこと知ったら何て思うだろうと考えてしまったんだんだよね。

(軽い男って思うだろうな・・・。)

そう思うと、行く気がしなかったんだ。 

まあ、実際んとこはSは別に何とも思わないだろうけどね・・・。

Y先輩は元気のない俺に怪訝な顔してたけど、まさか俺がSに好意持ってるなんて思いもしないみたいだ。

そんなわけで結局、金曜の朝、

『先輩、何か気分悪いんで、申し訳ないけど今晩はやめときます。 誰か他の人誘って下さい。』

って、Y先輩に言ったんだ。 

Y先輩は、そんな俺の気持ち知らないから、俺の体調気遣いながらも大慌て。 

アタフタしてもう1人のメンバー探してたけど、それはすぐに見つかったみたいで安心してた。

うちの会社は毒男多いから合コン行きたい奴なんていくらでもいるんだよね。

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15.これって恋?

しかし、その時はまだ自分でもそれが恋愛感情だとは思わなかった。

(この女生意気だけど、意外といーとこあんじゃん!)

てゆう程度の意識。 ・・・だと、自分では思ってた。 

でもホントのとこ言うと、実はそん時俺はSを昼飯に誘ったんだ。

『せっかく誘ってもらって悪いけど、あたしは弁当持ってきたからいいよ。』

って断られたけどね。

そして、この事が自分の心にブレーキをかけていたのかもしれない。

何せ俺は昔から慎重っていうか、ヘタレってゆうか、振られる可能性が高い時は口説かないことにしてるからね。

相手が俺に好意を持っていると確信できなければ誘いも出来ない臆病な男だったから・・・。

さて、お盆休みも終わると、以前のように俺はY先輩の車に同乗して通勤するようになった。

Y先輩も先日の合コンでSに冷たくあしらわれてるから、もうFちゃんのこと諦めムードだった。

だからもう俺の役割終わったって感じだったけど、K幼稚園の前まで来るとつい無意識にSの姿探しちゃうんだよね。 Sは夏期休暇に入っているからいないっての分かってても・・・。

その日もそう思って車内からボーとK幼稚園の方を見ていたんだ。

そしたらFちゃんが見えたんだ。 1人門の前を掃除していた。  

『あ、先輩っ!!』

『何だ?』

『止めて止めて! 早く!早く!』

キキィィィーー!!

『何だ! 何だ!』

『Fちゃんが門の所にいますよ。』

『ナヌッ!』 

『どうしますか・・・?』

Y先輩は10秒くらい考えると俺に、

『お前が車運転して会社行ってくれ。 俺は電車で行くから!』

と言い、車を降りてFちゃんの方へ歩いて行ったんだ・・・。

そん時のY先輩の後ろ姿、ヘタレの俺から見るともの凄くカッコよくって、まぶしく見えたなぁ・・・。

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14.悲しいウサギ

俺達に対する態度とはまるで違くて、ウサギには優しいSであった。

『いっぱい食べて早く元気になってね。』

優しく語りかけるS。

しかし、そのウサギは余り食欲が無さそうだ。 どのくらい餌をあげたのか分からないが、餌箱にはまだたくさん残っている。

おまけにこのウサギ、毛の艶も悪く、円形脱毛症みたいにところどころ毛が抜け落ちている。

『このウサギ病気? 何だか元気ないね。』

俺がそう言うと、Sは悲しい顔になって、

『ミルク(ウサギの名前)はね、可哀想なウサギなんだよ・・・。』

と、ポツリと言った。

『ミルクは、この子達の母親なんだよ。』

Sは他のケージを指さした。 他にもケージが幾つかあってそれぞれに1羽ずつウサギが入っている。

『この子らがミルクのこといじめるもんでさ。 毛が抜けちゃったんだよ。』

『・・・。』

『ミルクはね・・、出産前に一生懸命に巣作りしてさ・・・。 お腹痛めて産んでだよ・・・。 産まれると一生懸命に子ウサギを一羽一羽綺麗にしてあげてさ・・・。 授乳もしてさ・・・。』

Sの声が段々涙ぐんできた。目もウルウルしている。

『ミルクは子ウサギたちをそんなに大事に育ててあげたのに・・・。 それなのに子ウサギの奴らってばっ! 自分たちが大きくなったらミルクを寄ってたかって邪魔者扱いだよっ!』

横を向いたSの目からポロッポロッと滴が落ちるのが見えた。

それからしばらくSの声は途切れ、鼻水をすする音が聞こえた。

『すぐケージを分けて離してあげなかったあたし達も悪いんだけどさ・・・。 勉強不足でミルクに迷惑かけちゃった・・・。』

俺は、何て声掛けていいのか分からなかった・・・。

『しかし、何だね・・・。』

Sは、地面を見つめた。

『動物の社会でさえこんな事が起こるんだから、虐待やイジメを無くすって事はきっと想像以上に大変な事なんだろうね・・・。』 

Sはそう言って、ため息をついた・・・。

『悲しいけど、人間もただの動物なんだよ・・・。』

『・・・。』

『でもやっぱり・・・、やっぱり人間は理性があるんだから、それを解決していかないとね。』

Sの声に力がこもった。

『あたしは、そんな事のために少しでも力になれればいいなと思って幼稚園の先生になったんだ・・・。』

Sは、目の周りの涙を指先で拭い、少し恥ずかしそうに笑った。

そして、俺は、その瞬間にSに恋をしてしまったのだった。

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13.ムカツク女

合コンの翌日、K幼稚園そばのファミレスに飯食いに向かってたら、K幼稚園に人影がいるのが見えた。

お盆休みのはずなのに誰だ?)

覗いて見ると、長身にスケート選手のような逞しいお尻、水泳選手並みのガッシリした肩幅、紛れもなくSの後ろ姿だった。

声をかけようかと思ったが、俺のいる所からでは遠すぎる。

迷ったが、S以外他には誰もいないようなので、思い切って入り口の門を空け中へ入り、

『おはよう!』

と、声をかけた。

『おはようじゃないよ。 もう昼だよ。 眠そうな顔しちゃって・・・。』

振り向いたSの一言。 相変わらず口が悪い女だ・・・。 (-_-)

しかし、その後ニコッと笑って、

『昨日はごちそうさまでした。 m(_ _)m 』

と、頭を下げられた。

『あ、いいえ・・・。 (*^_^*) 』

何だか、全く期待してなかった人からお礼の言葉を貰うとうれしいもんだね。  (^_^)

Sって意外と礼儀正しい淑女なのかも・・・。

『今日休みだよね? どうしたの?』

『見りゃわかるでしょ。 ウサギに餌あげに来たの!』

『・・・。 (-_-;) 』

やっぱりムカツク女である・・・。 

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12.続・合コン

K幼稚園では、夏休みの間も預かり保育があり、先生達は前後半交代で休みを取るらしい。

しかし、Y先輩の気持ちは知ってたはずなのに・・・、これって絶対確信犯だよな。

合コンが始まってから約1時間、最初はブスッとしていたY先輩だったが、酔うにつれハイテンションになると、Sにやたら話しかけるようになった。

『ねえ、Sちゃん! Sちゃん!』

『・・・さっきから馴れ馴れしく、ちゃん付けで呼ばないでくれる? (-_-;) 』

『あ、ゴメン、ゴメン。ねぇ、Fちゃんって彼氏いるのかなぁ?』

『Fちゃんて幾つ?』

『Fちゃんの趣味は?』

『Fちゃんの血液型は?』

『るさいっ! そんなのFちゃんに直接訊いてみなよ!』

俺はそんな2人の会話にハラハラして、とても合コンを楽しむ余裕なんて無かった。

一方、他の奴らにとってはそんな事はもちろんどーでもよく、

男1『ねぇねぇ、君たちってどういう関係?』

女1『高校が一緒なんですぅ。』

男2『年齢違うよねぇ。 部活関係?』

女2『え、えぇ・・・、テ、テニス部の先輩後輩なんですぅ。』

この時、Sがジロッと女達を睨んだが、その時の俺にはSの行動の意味が分からなかった。

ちなみに、女は計6人来たが、そのレベルときたら・・・。

しかし、1人だけ超可愛い子がいた。 名前をR美という。 

芸能人で言うと、モー娘の道重さゆみに似ているR美は、小柄でベビーフェイスでまるで中学生のようだ。

しかもいつもニコニコ愛想良く、甘えるような話し方をするので男が放っておけないタイプと言って良いだろう。ちなみに仕事はナースとの事。

野菜に例えれば(なぜに野菜?)、ショートケーキの上に乗っている苺(苺って野菜って知ってた?)って感じかな。

それに比べ他の5人は、ジャガイモ、カボチャ、大根、ゴボウ、タマネギ。

ちなみにSはタマネギです。 何故かって言うと、扱い方によってはこっちが涙ボロボロになるまで泣かされるからです・・・。

当然、男どもの関心はR美に集中する。

男1『R美ちゃんがいる病院だったら俺も入院したいなぁ。』

男2『俺、今心臓バクバクしてるけど、診察してくれる?』

男7『恋の病って言いたいんだろう? このバカ!』

R美『いやだぁ、もう! みなさんったら! キャッキャッ!』

こんな調子である・・・。

他の女どもは当然面白くない。 ブスッとしている。 ブスがブスッ・・・(失礼しました)。 雰囲気は最悪である・・・。

そして男どもは、調子良くR美にアルコールガバガバ飲ませるもんだから、R美の顔は真っ赤だ。

R美『フゥ~、熱くなってきちゃった・・・。』

S 『ヤバっ! 危険信号だ。 帰るよ!』

Sの一言で女達がさっさと帰り支度を始めた。

男1『ええ~~、もう帰るの!』

男2『この後、カラオケ行こうよ!』

男達の願いも全く無視して女どもは一斉に帰っていった。

飲み代は当然の様に全く出さないまま・・・。

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11.合コン

お盆休み中に合コンは行われた。

-合コン当日-

待ち合わせ時間より30分も早く着いた俺達は先に席について、今か今かとK幼稚園様ご一行を待っていた。

『いいかみんな、今日は俺がFちゃんと会うために催された合コンだ。 くれぐれもFちゃんには手を出さないでくれよ。』

・・・Y先輩、それ何度も聞いたってば。 Y先輩の事をセコッ!、というSの言葉もうなずけるかも・・・。

しかし、みんなワクワクして、Y先輩の話なんか完全無視である。

男1『俺、保母さんと一度合コンしてみたかったんですよ。』

男2『保母さん・・・。 うん、響きがいいよな。』

(もしもし、幼稚園の先生は保母さんって呼ばないんですけど・・・。)

『こんばんは。』

Sの声がして待ちに待った女の子達が入ってきた。

『こんば・・・?』

ん? ・・・おかしい。 俺はここ2週間くらい毎日K幼稚園の前を注意深く見ながら通り過ぎていたが、S以外知った顔がいない。

『おい、Fちゃんがいないぞ。』

Y先輩が俺に耳打ちした。

『そうですね・・・。 後から来るんじゃないですか。』

しかし、それをSに聞く暇もなく、合コンはスタートした。

一通り、自己紹介が終わると、幼稚園の先生はSだけだった。

『D、どういうことだよ?』

Y先輩の俺を見る目が厳しくなった。 寮のみんなも不思議そうな顔をしている。

『Sさん、Fちゃんは?』

『来ないよ。』

『ハァ!』

『え、来られなくなったの?』

『元々来る予定無かったよ。 だって、Fちゃんは今夏期休暇中で幼稚園には来てないから。』

『えぇ~!、だって・・・。』

『あたしあの時、幼稚園のメンバーで来るなんて一言も言ってないっしょ。』

Y先輩のショックは説明するまでも無いだろう・・・。

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10.独身寮は大騒ぎ

『マジか? うぉぅ! やったぜぇぇぇ!!!』

Y先輩の喜び方は凄まじかった。 総務部のみんなが振り返った。

おかげで、

『Y! D! チョット来い!』

なんて係長に呼ばれて、

『静かにしろ! お前らのせいで俺の管理能力が疑われるだろ! もう・・・会社ではちゃんと仕事しろ!』

俺までネチネチと係長に怒られた。

こんな事してたら、俺もそのうちリストラ要員にされるかも・・・。 Y先輩との付き合い方考えようかな・・・。

寮に帰ると、Y先輩は合コンの人選について真剣に考えていた。

ホントはY先輩は2対2でやりたかったらしいが、Sが5、6人連れてくると言ったのだ。

Y先輩の考えでは、もちろんイケメンは呼ばないらしい。 かといって暗い奴は場が悪くなるので、場を盛り上げられる明るい奴を呼びたいらしい。

メンバーを決めるとY先輩は、密かに1人1人に当たりだした。

しかし、合コンの情報はあっという間に寮全体に知れ渡ってしまった。

ドヤドヤドヤ! ドヤドヤドヤ!

寮のほとんどの奴らが俺とY先輩の部屋へ集まって来た。

男1『K幼稚園と合コンするんだって!?』

男2『俺行きたいッス!』

男3『Y、俺は呼ぶよな!』

男4『俺も!』

男5『ボクも!』

収拾がつかなくなってしまった。

中には彼女がいるのに合コンやりたいという厚かましい奴もいる。 しかし、もちろんそんな奴は却下だ。

結局、Y先輩と俺以外はくじ引きで決定することになった。

男3『うぉぉぉ~~! 外れたぁ!』

男7『ヤッタァ! 合コンだぁ!』

ヤッパみんな合コンしたいんだね・・・。

大盛り上がりのまま、夜は更けていった・・・。

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9.続・合コンへの道

K幼稚園の勤務パターンを調べてからは余り慌てる必要もなくなった。

Sが門のそばにいる頃を見計らって出かければいいだけだ。

都合よくその時間は出社のタイミングとピッタリだった。

そしてその日の朝、Sは門の外で1人、草取りをしていた。

『おはよう!』

『あ、おはよう。』

『今日は何か随分丁寧だね。』

『明日からお盆休みで今日は大掃除だよ。』

『はぁ、そうなんだ・・・。』

『はぁ、そうなんだ・・・って。 あんたの会社だってお盆休みくらいあるでしょーが。』

『ああ・・・。うちはあさってから。』

『・・・。』

今までSとこんな長く話したこと無かったから何か緊張して、俺の返事も何処か間が抜けていたんだ。

『お盆休みはどーすんの?』

『お盆休みは特に予定ないけど、続けて夏期休暇に入るからそしたら友達と旅行に行く予定になってるけど。』

『じゃあ、それまで暇?』

『まあ、暇っていえば暇だけど・・・。何? あたしをナンパでもする気?』

と言って、Sがコロコロと笑った。

その時、俺は初めてSの笑顔を見た。 意外と可愛かった(今思えば大いなる勘違い)。

『あのさ、合コンしない?』

『え? あんたマジでナンパする気?』

『実は先輩に前々から頼まれててさ。』

『ああ・・・、あのタバコ男。』

Sの顔が急に曇った。 Sの方もやはりY先輩にいいイメージが無いらしい。

『夏祭りの日、先輩が声かけた先生覚えてる。』

『ああ、Fちゃんね。』

『そのFちゃんと会いたいから合コンの手配してくれって言われてるんだよ。』

『ハァっ!? ・・・Fちゃんと会いたいなら自分で誘えって言っときなよっ!! 後輩にやらせるなんてセコッ!! そんな男が一番女に嫌われるんだよっ!! 最低だよっ!! 最低男っ!! 』

そう言ったSのドタマから蒸気機関車が発車しそうになっている!

しかし、そこまで言うか・・・。 (^^;)

『いやいや、先輩だけじゃなくて寮のみんなも合コンしたいって言うから・・・。』

Sの怒りを和らげようと、俺は思わず勢いでそう言ってしまった。

『他にも来るの?』

『うん、来たい奴いっぱいいる。なんせ独身男子寮だから。』

『ふ~ん。』

そう言うと、Sは、途端に押し黙り、何か考え込む様子になった。

『・・・いいよ、やっても。』

『ホ、ホントに?』

『ホントだよ。あたしは嘘つかないよ。』

『やったっ! !(^^)! ありがとう! 先輩も喜ぶよ! ・・・いや、みんなも!』

その時俺は飛び跳ね、それから気が付いたら会社に着いてたっていうくらい嬉しかったんだ。

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8.合コンへの道

翌日から俺は、Y先輩とは別行動で、寮から会社まで市電で通わされるハメになってしまった・・・。 ><。

Y先輩は手っ取り早くSに合コン申し込んで来いと言ったけど、俺にはそんな度胸はもちろん無い。

とりあえず、毎朝K幼稚園(上村愛子似のいる幼稚園)の様子を伺いながら会社へ向かうのが日課となっていた。挙動不審者と警戒されないかとビクビクしながら・・・。

おまけにY先輩は、俺に上村愛子とは直接仲良くなるなとクギを差していたから(ホント自分勝手!)、作戦は益々難度を高くしていた。

まずは情報収集だと思った俺は、いとこの幼稚園教諭に電話して幼稚園での勤務の様子を訊いた。

『D(俺の名前)、幼稚園の先生が好きになったんだ! へぇ!』

先輩に頼まれて電話したと言っても、いとこは信用しなかった。俺も説明するのもかったるいから強く否定しなかった。

『そこ公立幼稚園だよね。 いいなぁ! 公立は勤務時間が短くて楽なんだよ・・・。』

それからひとしきり、いとこの愚痴を聞いてあげなければならなかった。 残業代も出ないし、保護者には難癖つけられるし、幼稚園の先生も大変なんだね・・・。

愚痴がひとしきり終わると、いとこは好奇心丸出しながらも、俺の質問に親切に教えてくれた。

ただ最後に、

『幼稚園の先生って言うと優しいイメージを持たれるけど、実際は気が強い女が多いんだよね。Dも気を付けなよ。』

と、言っていた。

その時はすぐに忘れてしまったが、もっといとこの言う事に注意を払っていればなぁ・・・。

今こんなに苦労することはなかった。 ><。

さあ、気を取り直して話を進めるが、俺は有休休みの平日、K幼稚園そばのファミレスで、張ってみたりもした(・・・しかし、こう改めて書いてみると間違いなく俺は不審者かストーカーだな・・・。)。

え? どうしてお前がそこまでやるかって? 

俺も彼女がいないのが段々と寂しくなってきて、あわよくばその合コンで彼女が見つけられないかと思っていたんだよね。 

そうこうするうちに、K幼稚園の勤務状況が大まかながら分かってきたんだ。 やっぱ努力は嘘つかないね。(もっと別なところで努力すればいいと思うが・・・)

K幼稚園の先生の出勤は7時半頃。

それから園内や運動場・門の前の清掃をして子供達を待つ。8時前後から子供の登園が始まる。 しかしこの時間帯はまだパラパラで、ピークは8時45分~9時の時間帯だ。

子供達の降園は1時半~2時半頃である。先生達は5時~6時頃帰っていく。

そして朝方も、門の前でSやK幼稚園の先生を見かければ挨拶を交わして、自分を認識してもらう努力もしていたんだ。(大抵門の所にはSがいたが、時たまいる他の先生方はただの通りすがりの俺を認識していたかどうかは不明)

そんなある日、ついにチャンスが来たんだ!

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7.Y先輩の陰謀

その日の夜、俺とY先輩は、独身寮の近くにある行きつけの居酒屋にいた。

珍しく口数が少ないY先輩は、これもまた珍しく真剣な顔で、

『頼みがあるんだけど。』

と、俺に言った。

『・・・何ですか?』

俺は何か嫌な予感がした。

『お前、あの幼稚園の先生達と合コン設定してきてくれ。』

『はぁ??』

『そんな顔せずに頼むよぉ! m(_ _)m 』

『嫌ですよ! 自分でやればいいじゃないですか!』

『ダメダメ! ほら、俺は、歩きタバコ事件でイメージ悪いし・・・。』

『そんなの、Sって女の時の話でしょ? あの上村愛子とは関係ないじゃないですか。』

『関係あるよ。 だって俺達が顔見知りなのはSの方だろ。』

『か、顔見知りって言うんですかね? (^_^;) 』

『だからSに頼んで設定して貰うしかねえじゃねえかよ!』

俺の質問は無視かよ・・・。 (-_-;)

『自分でやって下さいよ。』

『だからぁ! 俺はイメージが悪いって言ってんじゃねえかよ! 人の話を聞け!』

ぎゃ、逆切れかよ・・・。(=_=)

『・・・。』

『だから頼むよ!』

『いやいやいや! 俺にはできませんって! ナンパもできない人間なんですから・・・。』

『いいか、よく聞け!』

Y先輩は、バッと身を乗り出すと、おもむろに俺の肩を掴んだ。

『俺達は今総務部だ。 しかし、いつ人事異動で他の部署へ異動になるかもしれん。』

『はぁ?突然何ですか?』

『営業部に異動になったとして、ボクは営業できませんなんて言えると思うか?』

『それは言えませんね・・・。 でもそれがさっきの話と何の関係があるんですか?』

『関係あるんだよ! 女と仲良くもなれない奴が営業出来るわきゃねえんだよ!』

『そんなもんですか・・・。』

『そんなもんだ。 いいか? 将来営業部に移動になったときのための勉強と思ってやれ。 任せたぞ!』

と、ポンと肩を叩かれた。

何だかうまく丸め込まれた気が・・・。

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6.Y先輩の恋

それからのY先輩はどうしたかと言えば、シュンとして帰ってきて、祭りが終わるまで元気が無かった。

ハイテンションにもなりやすいが、落ち込みやすい人なのである。

さて、そんなことは俺にはどーでもよく、張り切って参加したものの、昼から夕方まで御輿を担いで疲労困憊した。

だって、こんなに御輿を担ぐのが大変だとは思わなかったよ。

なんせ御輿は想像以上に重たいし、ワッショイワッショイのかけ声に合わせて大揺れに揺れる御輿の担ぎ棒がガンガン肩に当たってメッチャ痛い。身長171の俺はまだいいけど、身長182のHなんかは半泣きで担いでいた。

ほんでもって御輿の下は満員電車みたいに混雑してるから、足は踏まれるし、カカトはけ飛ばされるし、そりゃあもう大変だった・・・。 ><。

普通の地味なお祭りでもこんなに大変だから、俺みたいな根性ナシは、とても岸和田みたいな喧嘩御輿なんか担げないと思ったね。つくづく・・・。

さて、翌日曜日。

肩のヒリヒリで目が覚め、腕と足は筋肉痛でゴワゴワパンパンだったから、温泉でも行ってマッサージして貰おうかなと思っていた俺だったが、Y先輩にしつこく誘われ祭りへ。

しかし、Y先輩は、何を買うでもなく縁日をそそくさと見て回ったり、仮面ライダーなんとかのキャラクターショーを覗き込んだり、かなりの挙動不審者である。

『ここにもいないな。』

『ん。誰がですか?』

『昨日の幼稚園の先生だよ。』

『はぁ・・・?マジですか?』

『もちろんマジだよ。俺は一目惚れした。』

Y先輩、そのセリフってA子の時も言ってませんでしたっけ・・・。

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